飲食店がテイクアウトサービスを始めるために必要なものは? | メリット・デメリットを解説
新型コロナウイルス拡大や物価上昇などの影響で、飲食店では来店客の減少や売り上げの落ち込みが問題になっています。
少しずつ外出する人も増えてきていますが、もとの状態にまで回復するには、少なくともあと数年はかかると思われます。
そんな外食産業の中で今、勢いがあるのが「テイクアウト」です。
近年、テイクアウトやデリバリーサービスが充実し、消費者にとって一気に身近なものとなりました。
飲食店が積極的にテイクアウトを導入することで、お店の味を気軽に家庭で楽しむことができるようになり、ますます「テイクアウト」の利便性とその価値に注目が集まってきています。
そこで、新たにテイクアウトを始める場合のメリット・デメリットは何か、具体的に注意することは何かを解説していきます。
テイクアウト導入のメリット・デメリット
新たなサービスを導入するときに一番気になるのがメリット・デメリットです。
テイクアウトを導入した際のメリット・デメリットを見ていきましょう。
メリット
・新たな売上を生み出すことができる
・客数に制限がないため、店舗の規模に関係なく売上を上げることができる
・イートインの新規顧客を獲得できる
・少人数でも対応できるため人件費が抑えられる
・事前注文によって食材ロス防止やアイドルタイムの活用が期待できる
・軽減税率制度により、消費税8%のテイクアウトが引き続き人気である
まずはメリットについて、見ていきましょう。
テイクアウトを導入することで、お持ち帰り客からの新たな売上が生まれます。今までお店のターゲット層でなかった客層もテイクアウトで獲得することが可能です。
例えば居酒屋をやっていて、メインの客層が男性サラリーマンだったお店でも、ランチタイムや夕方にテイクアウトを始めることで、近隣の主婦や子育て中のママさんなど違う客層が顧客になる可能性があります。
また、お店の座席数などに縛られず商品を提供することが可能です。
一人のお客様が家族の分など複数オーダーしてくださる場合も多々ありますし、ランチタイムなどお客様が集中する時間帯に事前注文のテイクアウトを上手に組み合わせることで今以上の売上が期待できます。
逆にテイクアウトで来店したお客様が、「美味しかったから、次はお店で食べてみようかな」と、次はイートインで利用してくださる場合も想定されますので、新規獲得も期待できるでしょう。
同じメニューでもテイクアウトならば消費税は8%(イートインならば10%)なので、あえてテイクアウトを選ばれるお客様もいらっしゃいます。消費者にとって身近な存在となったテイクアウトには多くのメリットがあると言えます。
デメリット
・メニューがテイクアウトに向いた料理に限定される ・単価が下がる傾向にある ・容器などの備品代が発生する ・店内オペレーションの準備が必要
続いてデメリットですが、テイクアウトが可能なメニューが限定されてしまうということです。
テイクアウトの場合、冷めても美味しく、傷みにくいものでなければなりません。生ものの提供が難しくなりますし、スープなどの液体は漏れないよう、容器にも注意が必要となります。
また、単価は地域の物価にも寄りますが、テーブルについて支払う金額よりも一人当たりの単価は低くなりがちです。
イートインでは一緒にオーダーが入っていたドリンク等も、テイクアウトの場合は出ない場合が多いことも頭に入れておきましょう。
最後に、スムーズにテイクアウト対応を行うための人員や待機スペースを確保するなど仕組みづくり(店内オペレーション)が必要となります。
メリット・デメリットを見ていきましたが、テイクアウトを導入することによって得られるメリットがたくさんあることが分かります。
飲食店がテイクアウトを導入する際に許可や申請は必要?
店内で提供しているものと同じであれば、許可は不要
結論から言うと、飲食店が店内で提供しているものと同じ商品をテイクアウトするのであれば、特別な許可を取る必要はありません。
「飲食店営業許可」の中にテイクアウト業務も含まれているのです。
テイクアウト用の新メニュー導入には注意が必要
ただ、テイクアウト専用のメニューを新たに導入したり、これまで販売していないアイテムを販売するのであれば、別途許可が必要となりますので、自己判断はせず管轄の保健所に問い合わせをしましょう。
営業許可が必要な場合、一般的には書類の作成から許可が下りるまで、2週間ほどかかります。それまでの日数も考慮して、テイクアウトサービスのスタート時期を検討するとよいですね。
テイクアウト店を開業する場合は別途営業許可が必要
現在の飲食店とは別に新たにテイクアウト店を開業するのであれば、当然別途営業許可の取得が必要となります。
必要な許可を得ることなく営業を始めると法律違反となりますので、正しい手続きを行いましょう。
テイクアウト商品に消費期限表示等は不要
テイクアウトを始めるにあたって、気になるもうひとつのポイントが消費期限などの記載の有無があると思います。
食品を販売する際には、食品基準法に従った表示をした商品を販売しなければいけなく、これには商品の消費期限、内容量、原材料などが該当します。
では、飲食店が行うテイクアウトの場合はどうなるのでしょうか?
店内で調理した料理をテイクアウトする場合には、消費期限、原材料、内容量などは記載不要です。飲食店の厨房で調理して、目の前のお客様に提供していたものをテイクアウトではそのまま容器に入れてお客様にお渡しする感覚で始めることができます。
テイクアウト導入に必要なもの
料理に合わせた適切な容器が不可欠
テイクアウトサービスを始める際に必ず必要となるものが容器です。大きさだけではなく、中に入れる料理に適したものでなければなりません。
お客様が食べるまで、理想的な状態でキープしてくれて、持ち運ぶことを想定したものを選びましょう。
選ぶ基準はこちらをチェックしてみてください。
・水分が漏れない ・油分にも強い ・温かさを保ってくれる ・ごみの分別がしやすい(環境面にも配慮している) ・持ち運んだときに中の料理が崩れない ・ランニングコストがかかるためコスト面に優れている
また、容器だけではなく、箸やスプーンなどのカトラリー、おしぼりや紙ナプキン、持ち帰り用の手提げ袋なども必要になるので忘れないようにしましょう。
お客様に料理をお出しする際、お皿への盛り付けにこだわっていても、テイクアウトでは盛り付けにはあまりこだわれません。
ただ、顧客層や料理に合ったこだわりの容器を選ぶことは戦略の一つです。口にするものを入れるので品質が何より一番ですが、容器はそのお店の個性を発揮することもできるアイテムなので、お客様のSNSによる口コミ効果が狙えるポイントでもあります。
テイクアウト導入の強い味方『パックマーケット』
テイクアウトにおける容器の重要さについては、先ほどお話ししました。しかし、最初は何を選んだら良いか正直わかりません。
そんなときに頼りになるのが業界トップクラスの品揃えのテイクアウト容器を扱う『パックマーケット』です。
お店に必要なものがパパッとそろうと評判の専門通販サイトです。
ここでは『パックマーケット』の特徴について述べていきます。
入会費・年会費無料
事前の会員登録が必要ですが、登録料、入会費、年会費などは一切かかりません。
適した容器を決めるときに助かるサンプル無料
7000種類以上の対象商品から15種類まで無料でサンプルを試すことができ、事前に会員登録するだけで店舗・自宅に約2~4日で届きます。
実物を試してから導入できるので「やっぱり小さかった」「思っていた素材と違った」「汁漏れしちゃった」という失敗を回避できます。
サンプルにはレジ袋やカトラリー類も豊富に用意されているので、関連商材すべてを一度に試せるので手間も省けます。
ラインナップがとにかく豊富
多種多様な容器、使い捨てスプーンなどカトラリー類、おしぼりやレジ袋、ポリエチレン手袋やヘアキャップなどの衛生関係商品、除菌・消毒関連のアイテムまでテイクアウトに関するすべての物が揃っていると言っても過言ではありません。
小ロット注文も可能
お店の規模やテイクアウトの数量に合わせて小ロットでも注文できるので過剰な在庫を持たなくて済みます。
また東西2カ所から配送されるため、発注から到着までスピーディなのもポイントです。
専門店サイトならではの専門的な商品も揃う
店舗や厨房で使うような専門商品やクリスマスやお正月などの季節イベントに応じた商品も各種用意されています。
また、お店の屋号やロゴを入れた「名入れ」アイテムにも対応しています。
注文も決済も簡単
スマートフォンやパソコン、タブレットから24時間注文が可能です。
ネットショッピング感覚でカートに入れていくだけで、決済方法はカード決済、コンビニ振込、銀行振込から選べます。テイクアウトを導入するときの強い味方になってくれそうですね。
テイクアウト導入における注意点
次に細かな注意点です。テイクアウトを飲食店が導入する際、注意すべきことは大きく分けて3つあります。
・メニューの選定は慎重に! 美味しく安全に喜ばれるものを
・衛生管理の徹底をスタッフ全員で行う
・デリバリー(配達)を導入する場合は人員と個人情報の管理に注意
では、それぞれの注意点について述べていきます。
テイクアウトのメニューの選定について
店内で提供している料理と異なり、テイクアウトは食べるまでにタイムラグがあるため、選ぶメニューは時間が経過しても味が落ちないことが大前提となります。
衛生面からも食中毒などのリスクが高いメニューは避けましょう。自分のお店のメニューの中で、テイクアウトに適したものを吟味し、決定することが大事です。
そして何より、売りたいものより、売れるもの、お客様のニーズに応えることです。
どんな層のお客様がテイクアウトしてくださるのか、お店の周辺の環境で変わってくると思います。
一般的に、家で作るのが面倒なメニューだったり、専門店ならではの本格的な味が手軽に楽しめたりと、テイクアウトだからこそ選ばれ、喜ばれるメニューのポイントがあるはずです。
メニューや食材によっては別途許可が必要なものや表示義務が生じるケースもありますので、自己判断せずに自治体の保健所に相談すると安心です。
別途許可が必要なテイクアウト事例(一例)
・テイクアウト専用のお弁当やおにぎりを販売する ・冷凍のカレーなど冷凍食品を販売する ・生肉・生魚・生麺などをテイクアウトで販売する ・ケーキやクッキーを販売する ・アイスクリーム等の乳製品を販売する ・自家製ハムを販売する ・自家製の調味料を販売する ・自家製あんこのおはぎを販売する ・おしゃれな缶のビールをテイクアウト用に販売する ・調理をする場所と販売する場所が異なる
表示義務が必要なテイクアウト事例(一例)
・製造・加工した食材を仕入れて販売する ・セントラルキッチンなどで調理されたものを販売する ・あらかじめ容器に包装した状態で販売する
他にもいろいろなケースがあり、素人では判断が困難なものばかりです。その都度保健所に問い合わせ、対処方法を確認していきましょう。
衛生管理について
テイクアウトの場合、どのように保存され、いつ、誰が食べるのか、お店が管理することはできません。
そのため、店内で提供していた以上に衛生管理の徹底が必要です。
また、店内調理の場合は表示義務もないため、アレルギーのことも頭に入れておきましょう。ポップでの案内やスタッフによる声掛けなどの工夫をするとよいでしょう。
そしてお客様に商品をお渡しする際はなるべく早く召し上げっていただくようお願いし、保冷剤や保存料を適切に使用するなど最善を尽くしましょう。
スタッフへ衛生管理に関する勉強会を行うなど、リスク管理対策を適宜行うことも重要です。
デリバリーサービスの導入について
デリバリー(配達)サービスの有無とやる場合の注意点
すっかり身近になったデリバリーサービスですが、テイクアウトと並行して導入する際は以下のことを考慮して検討しましょう。
・配達エリアの設定 ・配達人員の確保 ・ウーバーイーツ等外部サービスの利用の有無 ・住所や電話番号など顧客の個人情報の取り扱いについて
配達エリアの設定について
デリバリーサービスを行うのであれば、料理をできるだけ美味しい状態で提供するために注文を受けてから30~40分以内で配達できるエリアがよいでしょう。
そうなると料理を作る時間も考慮して、例えば自転車やバイクで片道15分以内が配達圏内と想定し、お店の周辺環境に合わせて設定してみるとよいかもしれません。
配達人員の確保と外部サービスの利用の有無について
デリバリーを行うのであれば、配達スタッフが必要となります。飲食店の接客スタッフも必要な場合は配達スタッフとの調整が必要です。
人員確保は難しいですが、デリバリーも行いたい場合は「Uber Eats」などの外部宅配サービスを利用する方法もあります。
外部の宅配サービスを利用すると、業者にサービス利用手数料を支払う必要があります。各社の手数料の違いや特徴を確認してから検討しましょう。
住所や電話番号など顧客の個人情報の取り扱いについて
デリバリーサービスを導入すると、配達先の住所、氏名、電話番号などの個人情報を取り扱うことになるため、情報の扱いには細心の注意が必要です。
スタッフ全員に個人情報の保護に関する法律、関連法令、ガイドラインなどを遵守するよう教育しましょう。
小さなことかもしれませんが、例えば配達先の個人情報を書いたメモの処理の仕方などもお店でしっかりと決めていきましょう。
売り上げを伸ばすために
せっかく飲食店が新たにテイクアウトを導入しても、誰にも知られていなければ集客はできません。
ここでは、せっかく始めたテイクアウトサービスで売り上げを伸ばす工夫についてお話しします。
インターネットの活用は必須
テイクアウトの情報を探している人の大半はインターネットを使って情報を探していると言われています。
パソコンやスマートフォンで検索した際に、自分のお店のテイクアウト情報を見つけてもらえるようGoogleマップの情報を更新したり、自店のインスタグラムのハッシュタグや位置情報を活用したりするなど工夫をしましょう。
自店のSNSはもちろんのこと、効果が見込めるWEBサービスも検討してもよいかもしれません。
特性や客層に合ったSNSを活用しよう
SNSとひとくちに言ってもそれぞれ特性があります。
客層に合わせてインスタグラム、フェイスブック、Twitter、TikTokなど投稿ツールを選び、その特性に合った打ち出し方をするとよいでしょう。
具体的には、美味しそうな料理やおしゃれなパッケージの綺麗な写真で特長を打ち出したいときはインスタグラムに投稿し、タイムセールなどのタイムリーな情報はTwitterに投稿するなど、創意工夫することで狙った層にアピールすることが可能です。
投稿する際は、お客様が知りたい「オーダー方法、値段、デリバリーの有無、アレルギー情報」なども併せて記載しましょう。
テイクアウト情報の検索サイトの活用
最近ではテイクアウトやデリバリー情報を掲載しているサイトやサービスが多数あります。
こちらも口コミや評判を確かめながら、テスト導入するのも方法の一つです。手数料や料金形態もさまざまなので吟味しましょう。
忘れてはならない来店客や近隣の方へのPR
インターネット以外にも来店客に向けて店内にチラシやポップを置く、店頭にのぼりや看板を設置する、ご近所にポスティングするなど工夫して宣伝をしましょう。
アイドルタイムを活用してもらえる割引サービスや、リピート客を増やすためのクーポンなど、お店の状況に合わせて考えるのもいいでしょう。
まとめ
長引くコロナウイルスの影響や物価高もあり、外食を避ける生活をしている世帯は増え続けています。
全国チェーンのレストランも続々とテイクアウトに注力していることからも、テイクアウトサービスへの需要はまだまだ拡大していくことが予想されます。
税率が低いテイクアウトを利用して、節約を考えている人も実際多数いらっしゃいます。
テイクアウトを導入するかどうか、実店舗の状況や周辺環境、顧客ニーズなどを踏まえてしっかり見極め、計画し準備することが重要です。
対策を十分に行い、チャンスを逃さないよう対応すれば、新たなビジネスチャンスを手にすることが期待できます。
まずは前向きに検討してみませんか?