飲食店のコスト削減を今すぐしよう! | 見直しポイントと具体策
現在もなお、新型コロナウイルス感染症拡大や物価上昇などの影響で、来店客が思うように伸びず、頭を抱えていらっしゃる経営者の方も多く見られます。
そんな状況の中、少しでも利益を増やすためには「売り上げを増やす」もしくは「コストを削減する」の2つの選択肢しかありません。
売り上げを増やすために商品やサービスを改善することはもちろん重要ですが、来店客が増えない状況下での売り上げ増は、なかなか難しく、また時間がかかることも予想されます。
一方、「コスト削減」においては、削減できるポイントが多数あります。少しずつであっても削減されたコストはそのまま利益として蓄積されていきます。
売り上げを増やすことよりも、コスト削減の方が確実で結果がでるのも早いのです。ただ、一口に「コスト削減」と言っても、何から手を付けて良いかわからないのが正直なところだと思います。
ここでは、お店でも比較的実施しやすいコスト削減の具体案を紹介します。
飲食店の主なコスト「固定費」と「変動費」
飲食店における主なコストは「固定費」と「変動費」の2つに分けられます。
固定費について
「固定費」とは売上高に関わらずかかってくる一定の費用のことです。
たとえば家賃や電気代などの光熱費の基本料金、正社員のお給料などが該当します。固定費はたとえ売上が全く無く、ゼロ円だったとしてもかかる費用なので、日頃から意識しておく必要があります。
とはいえ、固定費はその名の通り、料金が固定されているため経費削減が難しいジャンルだとも言われています。
固定費には以下のようなものが該当します。
・地代や家賃 ・電気など光熱費の固定契約料 ・インターネットや電話などの通信費 ・保険料 ・減価償却費 ・支払利息 ・物品リース料 ・正社員の人件費 ・税金
変動費について
対して「変動費」は売上によって増減する費用のことをいいます。コスト削減を検討するのであればコントロールしやすい変動費に着目する方がよいでしょう。
変動費には以下のようなものが該当します。
・食材の仕入れなどの原料費 ・消耗品費 ・使用料によって変動する水道光熱費の使用料 ・パート・アルバイトの人件費 ・販売促進費・宣伝費 ・運送コスト
現在のコストの現状を正しく把握することからコスト削減はスタート
コスト削減に取り掛かるには、自分のお店において何にどれくらいの経費がかかっているかを把握するところから始めましょう。
過去数か月分の収支を洗い出し、何にいくら経費がかかっているかを調べましょう。コストの「見える化」はスタッフ全員のコストに対する意識改革にもなります。
そのときに、飲食店の経営指標となる数値がFLコスト・FL比率です。
自分のお店のFLコスト、FL比率を出してみよう
FLコストは、FOOD(食材)と人件費(Labor)を合計した金額です。
そして、売上高に対するFLコストの割合を算出したものがFL比率になります。
FL比率=(食材費+人件費)÷売上高
飲食店のFL比率は業態(レストランなのか、ラーメン屋なのか等)によっても異なりますが、一般的に60%未満に抑えるべきだとされています。
まずは自分の店舗のFLコストとFL比率を算出し、60%を超えていないかを確認しましょう。
FL比率が60%を超えている場合は、その原因が食材なのか人件費なのかを吟味する必要があります。
食材費と人件費の割合は
食材費35% + 人件費 25% 程度が望ましいと言われているので、どこに原因があるのかを突き詰めていきましょう。
現在のクオリティを下げずに削減可能な経費を探し出す
コスト削減に向けての経費の見直しはとても大切です。ですが、コスト削減だけにこだわり、ことを急ぎ過ぎることは危険です。
食材費を下げようと無茶をしてとにかく安く仕入れることに注力しすぎると、料理の味や品質が下がってしまう場合があります。
人件費を削減しようとするあまり、時給を下げたり、状況を見ずに人員を減らしたりするとスタッフのモチベーションの低下や離職を招いてしまいます。最終的にはサービスのクオリティが下がってしまいます。
利益を追求しすぎた、やみくもなコスト削減はお店全体のクオリティの低下につながり、その結果顧客離れを引き起こし、最悪の場合は売り上げを下げてしまう可能性もあります。
ですから、コスト削減の対象となりうる要素を洗い出す場合は、お店のクオリティを維持しつつ、無理のない範囲で選択し、進めていきましょう。
コスト削減と並行して、料理やスタッフのサービスを維持もしくはアップさせながら進めるのがベストです。
コスト削減の具体策
水道光熱費の削減ポイント
ここからは、水道光熱費の削減ポイントを解説します。
光熱費のコスト削減
現行プランの見直し
2016年より電力が、2017年よりガスが自由化され、それまではお住まいの地域の電力会社・ガス会社のみでの契約でしたが、自由化後は好きな会社を選んで契約することができるようになりました。
現在はさまざまな会社が独自のプランを多数提供しているため、契約しているプランを見直すだけでも削減できる可能性があります。たとえば、契約ワット数が大きすぎる場合は下げることも可能です。
また、電気だけ、ガスだけではなく、電気とガス、電気とインターネット通信などのセット割引もあるので、お店全体の経費を視野に入れて検討してみましょう。
節電
節電意識もコスト削減につながります。
消費電力が大きいエアコンはチリやホコリが蓄積された状態で使用すると、本体にも負荷がかかり、電気代が上がり、最悪の場合買い替えが必要になります。まずはこまめに掃除を行いましょう。
温度設定もコスト削減において重要です。
温度設定の目安は、冬場は20℃、夏場は28℃が適正と言われており、冷房の設定温度を1度上げれば約13%、暖房の設定温度を1度下げれば約10%の節電効果があるといわれています。
お店の照明器具も白熱灯を使用しているのであれば、LED照明に切り替えることで、約50%~70%の消費電力と電気料金の削減が期待できます。
古い電化製品は省エネタイプのものに買い替えを検討する、不要な電気はこまめに消すなど、スタッフ全員が節電意識を持つことで電気料金の削減につながっていきます。
水道代のコスト削減
飲食店ではどうしても水道の使用量が多くなります。
わずかな節約かもしれませんが以下のような方法があります。
・節水コマやシャワーヘッド、水圧をあげる設備などの節水アイテムを導入する ・業務用食洗器を導入する ・営業している地域が、下水道の減免を行える地域かどうか、対象業種かどうかを調べてみる
コントロールしやすい変動費の削減ポイント
原料費のコスト削減
原料費のコスト削減といっても現在原料の高騰が続いていますし、材料の質を落としてはならないので、安く仕入れることを目指すのではなく、廃棄する食材(食品ロス)を減らすことが有効な手段です。
食品ロス削減は無駄な支出を減らすことにつながり、利益増に直結しています。
そのためには
・仕入れ量の管理(消耗品も含む) ・食材、食品の再利用
を意識しましょう。
消費期限内に利用しきれず廃棄となる食材を減らす対策として、
・適正な量とタイミングで仕入れているか ・保管状況に問題はないか
をチェックするとともに、現在テイクアウトをやっていないお店はテイクアウトを導入するのもよいかもしれません。
また、仕入れに関して食材だけではなく、店内で使用する消耗品も適切な量を発注することでロスを減らすことができます。たとえば、使い捨てのフォークを大量に仕入れたものの、使いきれず汚れて廃棄している等、見直せる箇所はいくつも見つかると思います。
飲食店の経営指標でもあるFL比率を適正数値に導くためにも、原料費のコスト削減はコントロールしやすく、とても重要になってきます。
小ロットでも注文可能な『パックマーケット』
『パックマーケット』は業務用包材資材・テイクアウト容器・消耗品などが、ここ一箇所ですべて揃うワンストップ通販サイトで、飲食店で必要なアイテムが豊富に揃い、小ロットからでも注文可能です。
たとえば、今まで複数の店舗で購入していたものを『パックマーケット』でまとめて購入することで、送料コストの削減になったり、テイクアウト用の容器やビニール袋など、必要以上に大量購入していたアイテムを小ロット注文することでロスを防止したりできます。
発注方法もパソコン、スマホ、タブレットから簡単に24時間注文でき、東西2ケ所の拠点から発送されるため、発注業務もスムーズで作業効率も上がります。
注文はしたけれど商品が届かなくて、あわてて割高のものを近場で購入するといった発注ミスも回避できます。
人件費のコスト削減
人件費を意識するあまり、安易に時給を下げたり、むやみに人員を減らしたりしてはスタッフのモチベーションの低下や離職をまねくことにつながります。
そうならないよう注意しつつ、店舗規模や来客状況に合った、適正なスタッフの人員構成を見つけましょう。
あわせて店舗内のオペレーションを改善することで、人件費のコスト削減も可能になります。
適正な人員配置ができるシフトを組む
過去のデータから来店予測を立て、来店客数にあったシフトを組みましょう。
来店客数が多い時間帯にはスタッフを多く配置し、少ない時間帯はパート・アルバイトを調整するなど、お客様にもスタッフにも影響が出ないシフトを組むことが大事です。
これを機に、来店客数が著しく少ない時間帯があるのであれば、営業時間を変更する、来店客が少ない曜日は店休日にするなど調整を行ってもよいでしょう。
券売機やセルフオーダーシステム等、新たな機械やシステムを導入する
食券の券売機設置や各テーブルにセルフオーダーシステム対応のタブレットを配置するなど、機械やシステムを導入することで、人員を減らしても今まで通りの接客が可能になります。
しかし、導入コストがかかりすぎてしまっては本末転倒です。初期費用を回収できるのか、収支を見比べながら慎重に検討しましょう。
そこまで大がかりなシステムを導入しなくても、「お水をセルフサービスにする」「カトラリーをあらかじめテーブルに配置しておく」など、小さなオペレーションの変更も最終的には人件費削減につながります。
テイクアウトやデリバリーサービスの導入
少ない人員で売り上げをあげる対策としても、スタッフの有効活用対策としても、テイクアウトサービスやデリバリーサービスを導入するのも方法のひとつです。
まとめ
近年、飲食店を取り巻く環境は大変厳しく、どうしても売り上げばかりが気になる経営者の方も多いと思います。
売り上げを伸ばすための対策に目が行きがちで、コスト削減については手を付けていなかったり、後回しになっていたり。
しかし、売り上げが0円でもコストは日々発生しています。コスト削減は利益に直結しているので、ぜひこの機会にコスト削減に目を向けて動きはじめましょう。
まずは自分のお店のFL比率を出して、課題を見つけることからスタートです。そして、取り組みやすいところから対策を行うのがベストです。
節電・節水や食材・消耗品のロスを減らしていくなど、小さなことから始めてみましょう。