スーパーの食品ロスはなぜ起こるのか? | 原因から対策までご紹介
最近では、世界中でSDGsへの取り組みが行われています。私たちが暮らす地球上の人口は増加傾向にあり、そのうち9人に1人は栄養不足状態にあると言われています。
SDGsの目標の1つに「飢餓ゼロ」が掲げられていますが、日本では年間に522万トンの食品が廃棄されています。これは、世界全体で飢餓対策にあてられている食料の総量よりも多いのです。
そこで、食品ロスへの注目が高まり、令和元年には食品ロス削減を目指して「食品ロス削減推進法」が施行されました。
これにより、食品を扱うさまざまな企業では対応が広がっており、消費者の生活を支えるスーパーにも対応が求められています。
食品ロスとは?
食品ロスとは、本来であれば食べられるにも関わらず、廃棄されてしまう食材のことを言います。農林水産省によると、令和2年度の食品ロス量の推計値は522万トンにのぼります。
このうち、商品関連事業者から発生する事業系食品ロス量は275万トンで、日本全体で半分以上の食品ロスが食品事業者から出ていることがわかります。
これらの内訳は、売れ残りや返品、お客さんの食べ残し、販売できない規格外品といった食品です。食品ロスは、生産者が時間と労力を費やして生産した食材を無駄にしてしまうだけでなく、廃棄にかかる費用や環境に多くの負担をかけています。
今後は、食品ロス削減のために各飲食店においても取り組みの強化が求められるでしょう。
食品ロスの原因
ここからは、スーパーでどのような原因で食品ロスが増えるのか紹介していきます。
売れ残り商品が多い
消費者は色や形、鮮度が良いものを購入したいと考えることが多いでしょう。そのため、色や形が不揃いなものは「規格外品」として廃棄されてしまうのが現状です。
そこで、規格外品をお惣菜に使用したり、まとめて安く販売するなど工夫が必要となります。食品を仕入れる際にも、消費者の需要に合わせたマーケティングを行い、適切な量・種類を用意する工夫が大切です。
またスーパーでは、消費者がいつでも美味しいお惣菜を購入できる状態にするために、常に大量のお惣菜が用意されています。しかし、生産するお惣菜の量を調整しないと、閉店時間になっても売り切れず、廃棄せざるを得ない状態となってしまいます。
スーパーにおける食材廃棄の中でも、特に季節商品やイベントメニューなどの大量廃棄が課題とされています。
家庭内の食べ残しが多い
食事の作りすぎや、好き嫌いによる食べ残しは家庭から出る食品ロスの大半を占めています。そのため、食事をとる人数や好き嫌いなどを踏まえて、日頃から食べきれる量を作る意識が求められます。
人が集まる場面でも、見栄えを重視して作りすぎず「本当に全部食べきれるだろうか?」と考えて作ったり、残った料理はすぐに捨てず、分けて持ち帰る取り組みが必要です。
賞味期限・消費期限切れによる廃棄が多い
まとめ買いなどによって冷蔵庫内が食品で埋め尽くされていると、それぞれの期限を管理することが難しくなり、気付かないうちに食品が傷み、廃棄につながってしまうのです。
食品を購入するときは、献立や量を考慮して、食材を使い切れる分だけ買うことをおすすめします。
食品ロスによって引き起こされる問題
食べ物が無駄になるほか、食品ロスが与える影響について説明していきます。
地球温暖化などの環境問題
世界中で地球温暖化予防のため二酸化炭素削減に向けた取り組みが行われています。しかし、ごみの運搬や焼却処理の過程では二酸化炭素が発生してしまいます。
燃やすことで温室効果ガスが発生するのであれば、埋めることで解決できるのでは?と考える方もいるかもしれません。
しかし、食品廃棄物の埋め立て処理では、埋め立ての際にメタンガスと呼ばれる、二酸化炭素よりも温室効果が高いガスが発生するため、さらなる環境破壊のリスクがあります。
地球温暖化を防止するためには、食品ロスを削減することが最も有効な方法なのです。
世界的な食糧不足
世界的な食料不足が深刻なのに対し、日本は多くの食材を輸入しています。しかし、輸入した食材が食品ロスとして廃棄されると、有効に活用されるはずの食材の量が世界規模で減ってしまいます。
将来的に地球の人口が増加すれば、貧困や飢餓の問題を解決することが困難になると想定されます。
食材の廃棄に膨大な費用がかかる
食品を生産するためにはたくさんの時間と費用がかかっていますが、廃棄するにはさらに費用がかかります。
日本における、ごみの年間処理費用は2兆円を超えており、私たちが支払った税金などから1人当たり年間16,000円以上がごみの処理に使われている計算になります。
このまま食品ロスが削減できなければ、ごみ処理場不足の問題や、処理費用などがさらに膨れ上がっていく危険があります。
税金がもっとより良く使われるためにも、無駄なごみを増やさないよう日々取り組んでいきましょう。
スーパーの食品ロス改善に向けた取り組み
廃棄する食材を減らすことや、使いきれないことが予想される食材を有効活用することで、食品ロスを減らすことができます。
ここからは、スーパーが具体的にできることを紹介していきます。
「3分の1ルール」の見直し
食品の流通過程では、製造から賞味期限までの日数を3等分して納品・期限を決めるルールが存在しています。そのため、製造後、賞味期限までの1/3の期間が過ぎてしまった食品は、納品されることなく廃棄されてしまいます。
そもそも納品・販売の期間が短いので、期限内に納品・販売ができずに食品が廃棄されやすく、食品業界の課題とされていました。
そこで現在は、「1/2ルール」という製造から賞味期限までの日数を半分にして、1/2の日までを期限として納品するなど、緩和の動きが広まっています。
しかし、1/3ルールのままで取引をしている小売店もあり、卸売業者が各小売店のルールに応じて納品を行うことが難しい状況となっているため、今後さらなる緩和の動きに期待がされています。
また、店頭での販売期限も、小売店が賞味期限内で自由に設定することができるので、これまでよりも長い期間店頭での販売が可能となり、食品ロス削減に貢献しています。
訳あり商品として販売する
賞味期限・消費期限が近くなった商品の価格を下げて販売します。見切り品をまとめて手前に配置したり、「訳ありお得商品!」などのPOP表示によって、消費者が購入しやすい工夫を行います。
値引きシールが貼られた商品を目にする機会がありますが、シールを貼る作業は手間がかかったり、値引きのタイミングが難しいなどの問題があります。
そこで、デジタル技術を導入し、値引きのタイミングを知らせる、商品のバーコードを読み込むだけで賞味期限に合わせた値引きシールが自動印刷されるシステムなど効率的に値引き作業が行えるようにしています。
消費者側は、本来より低価格で商品を手に入れることができ、スーパー側は食品ロスを削減できるので、お互いにメリットがあります。
支援団体へ寄付する
店頭には出せないものの、安全に食べることができる食材は、フードバンクを活用することで廃棄されず、福祉施設や団体、個人に提供されます。
商品として販売できなくても、十分美味しく食べることができるので、余った食材を有効活用できます。
食料が不足している地域・人に行き渡ることで、貧困や栄養不足に苦しむ人を減らすことができ、食材を過剰に輸入することがなくなり、世界的な食料不足の改善にもつながります。
販売数に上限を設ける
スーパーでは、夕方に大量に製造されるお惣菜や、季節の行事に合わせたメニューなどは売れ残りによる大量廃棄が課題となっています。
そこで、近年は数量限定で販売し、食品を売り切る方針の小売店が増えています。
販売数を決めることによって、食品ロスを減らすとともに販売・製造コストの見直しにもつながります。曜日や地域の行事などの状況に合わせて仕入れ・販売量を決めて、閉店時間までに売り切る工夫が必要です。
消費者側ができる食品ロス対策
食品ロスを削減するためには、販売者と消費者双方の立場から取り組んでいくことが必要です。私たちが日頃スーパーで買い物をするときに、どのようなことに気をつけるべきか解説していきます。
食材を必要以上に買わない
お得だからといって、まとめ買いをするのはおすすめしません。冷蔵庫の中に入っている食材の量が増えると、全ての食品の賞味期限を覚えておくことは難しく、使い損ねて食材が傷んでしまうリスクが高いからです。
日頃から食材の買い物をするときは、その食材を使い切ることができるかよく考えて購入し、自宅では食べきれる分だけ作ることを意識しましょう。
商品棚の手前から取る
食材は色や形が規格から外れていても、味や鮮度には問題ありません。また、できるだけ賞味期限や消費期限の長いものを選びがちですが、購入してすぐに食べるものは期限が短くても問題がないはずです。
賞味期限・消費期限が近く、手前に陳列されている商品を購入することで、食品ロスを削減しやすくなります。消費者側も、今の考え方を見直して買い物をしていく必要があるでしょう。
値引きされている商品を買う
「見切り品」「訳あり品」と言われても、食品の安全性は保たれているため、購入後早めに消費すれば問題ありません。
訳あり商品は、本来より低価格で消費者は商品を手に入れることができるので、経済的にもメリットがあります。これからの時代は、消費者も食品廃棄ゼロを意識した買い物の仕方が求められます。
まとめ
世界では食料不足で十分な栄養を取れずに苦しんでいる人がいる一方、食品ロスが多い現状や、食品を輸入しながら廃棄している状況は、改善の必要があります。
地域の食生活を支えるスーパーマーケットにおいても、食品ロス削減のため今後さらなる取り組みが行われていくでしょう。
消費者としても、食品の買い方、使い方を見直して食品ロスを削減する意識を日頃からもって行動していくことが大切です。
『パックマーケット』では、特に鮮度を保つことが重要な肉・魚類の保存について取り組みが行われ、鮮度とうまみをキープして食材の鮮度を保つ「W-PHマット」が取り扱われています。
こういった便利グッズを活用し、飲食店・自宅でも食品を長持ちさせる工夫も食品ロス削減には大切になります。