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飲食店の厨房に必要な設備とは? | 選び方や注意点もご紹介

飲食店の開業に向けて、客席のレイアウトとともに重視しなければいけないのが、厨房設備です。

 

厨房のレイアウトに失敗すると、料理の提供が遅くなる、ストレスがたまる、さらには、保健所の営業許可が下りない可能性もあるので、レイアウトのポイントを知っておきましょう。

 

ここからは、開業前に知っておきたいキッチンの厨房レイアウト設計時のポイントについて解説していきます。

厨房機器を選ぶ際のポイント

 

厨房機器というと、ガスレンジ、冷蔵庫、食器棚、調理台、シンクなどがあげられます。

 

スムーズな料理の提供や、厨房の清潔維持、初期費用を抑えるためのポイントを紹介していきます。

 

保健所の営業許可基準を確認する

飲食店の開業をするときには、管轄する保健所へ営業許可の申請が必要になります。営業施設として一定の基準を満たす必要があるので、必ず確認しておきましょう。

 

もしも、営業許可を得ずに営業してしまうと、2年以下の懲役、または200万円以下の罰金が科せられます。

 

営業許可は、一度取ったら終わりではなく、5~8年の期限があり、毎回更新する必要があることも覚えておきましょう。

 

設備 要件
作業場 汚染を防止するため、間仕切りなどで調理場と客席の境目をドアやスイングドアで明確に分けます。

ただし、アコーディオンカーテンなどは認められないため注意が必要です。

また、居抜き物件では、保健所の検査が終わった後、ドアを外してしまっている物件も多く見受けられます。

簡単に板と蝶番でドアをDIYすることも可能なので、忘れずに検査前に設置しましょう。

壁・天井・床 平滑化され、掃除を容易に行える材質を採用します。

調理場は水が跳ねやすいので、床材が耐水になっている必要があります。

畳や木材、絨毯は水を吸い込んで、腐食して不衛生なので認められません。

床、天井、壁に穴が開いていたり、凹凸がある状態では清潔を保つことができないと判断されることがあります。

配管がむき出しになっていると、ほこりが溜まりやすい、動物や虫が生息しやすい環境を作り出してしまいます。

客席部分を吹き抜けにしていても、調理場はボードを貼って平坦な状態にしておきましょう。

照明設備 作業・清掃・検査を十分行えるように、明るさが100ルクス以上の照明を設置します。
換気設備 食品を取り扱う場所では、カビや結露の発生により汚染しないような構造になっていること、換気扇は防虫、防塵としてシャッターがついていることが必要です。
食品取扱設備 冷蔵、冷凍、加熱、殺菌、圧搾などの設備には温度計と圧力計を備え付け、必要に応じて流量計などの計量器を設置します。

冷蔵庫は、コールドテーブルと言われる業務用のものでなく、家庭で使用する冷蔵庫でも問題ありません。

ただし、外付けの温度計が必要になります。

洗浄設備 食品、器具や容器等を洗浄するのに十分な大きさで、必要に応じて熱湯等を供給できる洗浄設備を設置します。

シンクは基本的に2つ以上必要で、1つのシンクが

・奥行 36cm以上

・幅 45cm以上

・深さ 18cm以上  必要になります。

保管設備 食品や原材料、器具等を衛生的に保管できる十分な規模の設備が必要です。

食器・調理器具等を補完するための、扉付きの収納を設置しましょう。

グラスや皿など必要な物品が収まればいいので、棚の素材は自宅で使用しているものであっても構いません。

設置場所と設備のサイズを確認する

調理設備を設置する際には、機能性や設備基準も大切ですが、店舗の大きさに合っているかどうか確認することも必要です。

 

キッチンスペースは限られているため、必要以上に大きな調理機器を設置すると作業スペースや動線を確保できなくなり、効率的にサービスを提供することができない可能性があります。

 

注文を受けてから調理、提供までの流れがスムーズに行えるかどうか考えながら、設備を選びましょう。

レイアウトを確認する

 

どのような飲食店を開業するかによって、適切な厨房のレイアウトが変わってきます。

 

・飲食店の業態、コンセプト

・店舗の広さや構造

・提供するメニューの内容

・従業員の人数

 

厨房のレイアウトを考えるときには、店舗全体とのバランスにも配慮します。

 

一般的に厨房の広さは、店舗全体の25~35%程度とされており、小さすぎてもオペレーションに支障をきたし、広すぎても無駄なスペースが生まれてしまうため、最適な広さ、配置で、導線を整理することが重要になります。

 

飲食店のコンセプトに合わせて収容率、座席数を考えたうえで決めていくことが必要です。

設備の購入方法を確認する

飲食店開業時など、調理機器を一括でそろえようとすると出費が多額になります。必要な調理機器を事前にリストアップし、居抜き物件の場合はすでに設置されている調理機器を活用できるか検討することも大切です。

 

購入するときも新品を購入するのか、中古を活用するのか検討します。新品は、店舗に合わせて自由に機器の種類を選ぶことができます。

 

メーカー保証がついているので安心して使えるほか、業者によっては調理機器の設置・配管まで行ってくれるメリットがあります。

 

中古品の場合は、中古品以外にも新古品、展示品を専門店やインターネットで購入することができます。

 

ただし、新品と比べると故障の可能性は高いので正常に作動しているか、傷・汚れの有無など細かく確認してから購入するようにしましょう。

 

機器だけでなく、購入する業者についても故障時の保証やアフターサービスがしっかりしているか確認し、安心して購入できるか見極めることが重要です。

 

購入する以外にリースという選択肢もあります。

 

まとまった購入費用が不要になり、毎月のリース代を支払う仕組みなので、開業時の出費を抑えられるメリットがあるだけでなく、アフターサービスもついており、安心して設備を導入できる点もおすすめです。

厨房のレイアウトの種類

 

厨房のレイアウトにもいくつか種類があるので、紹介していきます。

 

業態、お店の規模やコンセプトによって、選択するレイアウトが変わってくるので、参考にしてみてください。

直線型キッチン

調理台、ガスコンロ、シンクが一直線に配置されたキッチンのことを言います。少人数で経営している小型の店舗に向いています。

 

業種としては、調理工程が複雑ではなく、厨房機器が少なくて済むものが合っています。

L字型キッチン

調理台を挟んでシンクとコンロが直角に配置されたキッチンのことを言います。料理の提供スピードが求められる店舗に向いています。

 

店舗の面積が狭い場合や従業員が少ない店舗に合っています。向いている業態としては、ラーメン店、中華料理屋、洋食店、焼き肉店などです。

二列型キッチン

シンクとコンロが2列に分かれて配置されているキッチンのことを言います。作業スペースが広くとれるので、直線型キッチンよりも移動距離が短く、調理導線の良いレイアウトになります。

 

向いている店舗は、イタリアン、フレンチ、韓国料理、居酒屋などです。

アイランド型キッチン

シンクやコンロとは別に調理台を設置したキッチンのことを言います。

 

厨房で料理したメニューをお客さんの前で仕上げることができ、ライブ感を出したり、お客さんの様子を見ながら料理・サービスを提供したいときにおすすめです。

厨房のレイアウトを決める際の注意点

 

飲食店の厨房のレイアウトを決めるとき押さえておきたいポイントを紹介していきます。

料理を提供するまでの動線をチェック

冷蔵庫から食材を取り出し、仕上げて利用客のもとへ提供するまでの導線を意識して調理機器を配置します。

 

調理工程で無駄が出ないような配置にすることで、料理をスムーズに提供できるようにします。

 

盛り付けが完成したらすぐに料理を運べるように、ホールに一番近い場所にディッシュアップカウンターを設置するのも効果的です。

 

その場合に注意が必要なのは、スタッフが安全に料理を受け取るスペースが確保されていることです。

 

混雑している時間帯には、下げた食器をいったん置く場所を確保しておくと、作業効率があがるだけでなく衛生面や見栄えもよくなります。

片づけるまでの動線をチェック

厨房内では、料理を提供するまでの導線に加え、片付けの導線にも配慮するとさらに効率が上がります。

 

これらの2つの動線を意識しないと、料理を運ぶ人と片付ける人がぶつかる、料理の工程を邪魔してしまうといった障害が生まれる原因になります。

 

流しや食洗器は料理を提供するまでの動線と重ならない位置に配置し、できるだけ客席から離れた見えない位置に作ることが基本です。

 

スタッフが複数人いる場合は、まずスタッフ同士がぶつからない広さを確保することが大前提です。

掃除がしやすいどうかをチェック

厨房を清潔に保つためには、掃除がしやすいことがポイントになります。ゴミやほこりが溜まりにくくなるように、厨房機器や調理器具の収納スペースを隙間なく配置すると良いでしょう。

 

汚れにくい材質の設備を導入する、床を水洗いできるように側溝の配置と勾配に配慮する、グリストラップ(油脂分離阻集器)を清掃しやすい位置に設置するといった工夫が大切です。

 

飲食店では、1日の営業だけでも大量の調理を行うので、油汚れ、焦げ付き、食べ物の残りカスがすぐにこびりついてしまいます。

 

毎日の掃除が簡単で、スムーズに行うことで、清潔感のある厨房を維持していきましょう。厨房に汚れが溜まっていくと、見栄えが悪い、食中毒のリスクが上がる、床が滑りやすくなりケガの原因になってしまいます。

設備機器のインフラの位置をチェック

水道・ガス・電気・ダクトなどインフラの使用できる位置を事前に確認しておくことで、調理場の位置をおおまかに決めることができます。

 

この確認を怠ってしまうと、後々内装工事が追加で必要になり出費が膨れ上がる恐れがあるので、必ず確認しておきましょう。追加工事によって、予定していた日程で開店できないという事態は避けたいところです。

飲食店の厨房で使われる厨房機器

 

飲食店開業時には、厨房機器の設置が必須となります。それらを選ぶ時に確認すべき点を紹介していきます。

ガステーブル・ガスコンロ

 

ガステーブル・ガスコンロを選ぶ時のポイントは3つあります。

 

・鍋やフライパンなどを置く五徳の大きさ

・ガスコンロの大きさ

・火力

 

料理の内容によって必要な火力が異なるので、どのような料理を提供する予定なのか考慮して選びましょう。ガスレンジという場合は、ガステーブルの下にオーブンが備え付けられているものを言います。

シンク

シンクにも保健所の規定があり、その基準を満たしている必要があります。既定の内容は各市町村によって異なりますが、調理場に2槽のシンクを設置が必要な場合もあります。

 

ただし、シンクが1槽でも食洗器など自動洗浄設備がある場合は、2槽タイプののシンクが不要になるので、事前にしっかりと確認しておきましょう。

 

シンクの形は、手前の縁が低くなりまな板を洗ったり魚介類の調理がしやすい「舟形シンク」、茹でた麺を冷やすための「ソバシンク」などがあります。

 

用途に合わせて特注する場合もあるため、提供する料理や作業の内容に合わせてシンクを選びましょう。

冷凍冷蔵庫

冷蔵庫を選ぶ時のポイントは、飲食店で使う食材の量にあった容量を選ぶことです。大きすぎると電気代が高額になり、厨房の作業スペースを制限してしまいます。

 

一方で小さすぎても食材の保管ができず、非効率的な仕入れを行わなくてはいけません。

 

飲食店で取り扱う食材の多くは、常温で長期保存ができないので、特に魚など大きめの食材を使う予定であれば、開閉しやすいタイプの冷蔵庫を選ぶようにすると良いです。

 

飲食店の営業許可を得るために「冷蔵庫内の温度計設置」が必須となります。業務用冷蔵庫には標準装備されていますが、家庭用冷蔵庫を店舗で利用する場合は、別途温度計の設置が必要になるので、覚えておきましょう。

食器棚

食器棚を選ぶ時のポイントは、整理整頓のしやすさと食器や調理器具を衛生的に保管できるかどうかです。保健所では、食器棚について扉付きの食器棚が1台以上必要という規定があるので事前に確認しておきましょう。

 

衛生的に保つためには、ほこりが溜まらない高さにあること、清掃のしやすさが重要であり、日常的に清掃することができないような設置方法では保健所の許可が下りないことがあります。

コールドテーブル・調理作業台

調理を行う作業台のシテに冷蔵庫や冷凍庫が備わっているものを言います。小規模店舗の場合など、調理スペースが限られている場合には、スペースを有効活用できるメリットがあります。

 

コールドテーブルの高さは70~90cm程度が多いですが、物によっては、60㎝程度の低いタイプも存在しています。

 

作業中は前傾姿勢になり、腰や首に負担がかかるので、調理スタッフの身長や作業内容に考慮し、使いやすいかどうか確認しておきましょう。

 

また、温度調整を行う駆動部ユニットの位置は製品によって異なります。電源までの動線や各厨房機器との配置をしっかり考えて購入しましょう。

製氷機

飲み物を提供する場合には氷が必要になります。製氷機の大きさによって氷を作れる量や保存量に差があります。

 

座席数や回転数に合わせて選ぶことが必要となり、製氷能力は店舗の客席数×1.5倍が目安です。

 

特に夏場やドリンクメニューが豊富な業態の場合は、氷の消費量が増えるので、製氷能力に少し余裕を持たせるよう考慮して選びましょう。

まとめ

 

ここまで、飲食店における厨房のレイアウトで大切となるポイントを紹介しました。

 

厨房のレイアウトは、開業後なかなか変更が難しい部分でもあるので、しっかりとポイントを押さえて準備を進めていくことが大切です。

 

初期投資には費用がかかるので、自身のお店にあった設備の選び方、購入の方法を是非参考にしてみてください。

 

また、開業に必要となる保健所への営業許可申請がスムーズに進められるよう必要な条件を参考にしていただければ幸いです。

 

パックマーケットでは、厨房用品が多数取り扱われています。公式アプリを使うと、24時間どこからでも自由に注文ができる点もおすすめです。

 

開業準備で忙しい時間の合間に是非チェックしてみてください。