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飲食店の変動費・固定費の内訳は? | 経費削減アイディアも説明

「飲食店の利益をもっと増やしたい」

「経費削減したいが、何から手を付けたらいいか分からない」

といった悩みをお持ちではありませんか。

 

飲食店の経営にあたり、利益を上げるためには売上げを増やすだけでなく、毎月の経費削減が必要になります。新型コロナウイルス感染症の影響もあり、飲食店では経営の見直しが必要になっているケースも多いでしょう。

 

しかし、むやみに経費削減をしようとするとサービスや商品の質が下がってしまうおそれがあるので注意が必要です。

 

今回は、変動費・固定費の内訳や目安、経費削減のアイディアについて紹介していきます。

なぜ変動費の見直しが必要なのか

 

無駄なコストを削減するために、まずは自分の経営している飲食店で何にどれくらい経費が発生しているか知ることが大切です。

 

飲食店経営を黒字化するためのポイントと、変動費に着目する理由を説明していきます。

損益分岐点とは

必要経費には、売上高に関わらず一定の支出が発生する固定費利用客数や社会情勢などの影響を受けて支出が増減する変動費があります。

 

損益分岐点とは、固定費と変動費を売上げが上回るポイントで、利益を出すために、どのくらい売上げが必要になるか目標をはっきりさせることができます

 

【計算式】

  損益分岐点売上高=固定費×売上高÷(売上高-変動費)

計算式だけでは、わかりにくいので実際に例を挙げてみます。

 

・売上高 500万円

・固定費 150万円

・変動費 250万円

 

損益分岐点売上高=150(固定費)✕500(売上高)÷{500(売上高)-250(変動費)}

=150✕500÷250

=300万円

 

この例の場合は、300万円以上の売上高があると黒字になります

経費削減は売上高を伸ばすより結果が出やすい

飲食店の経営を黒字化するためには、売上高を伸ばしていくか経費削減が必要になります。

 

売上高を伸ばす場合、成果が大きくなることがメリットですが、実際に売上高を伸ばすには時間がかかるといったデメリットもあります。

 

一方、経費削減は期待できる成果に限界はあるものの、すぐに取り組むことができるので効果が出やすいメリットがあります。

 

経費には固定費・変動費の2種類があり、家賃や借入金の返済といった固定費の見直しも可能ではありますが、支払金額があらかじめ決められているので金額を下げにくいという特徴があります。

 

それと比べ変動費は、アイディア次第で経費削減がしやすいことがポイントです。

飲食店にかかる変動費の内訳

 

変動費とは、毎月の利用客数や社会情勢などによって増減する費用のことです。

 

利用客が増えれば、使う食材の量、ガス・水道の使用量も増えるので、請求される経費も増えますが、利用客が減ると注文数が減るので経費も減るといった流れです。

 

一般的には以下の支出を変動費として取り扱います。

 

変動費 具体例
食材費 食材やドリンクの仕入れにかかる費用
人件費 アルバイトやパートの雇用で、労働時間によって支給する金額に変動があるもの
水道光熱費 電気代、ガス代、水道代
広告宣伝費 グルメサイトなどネットへの店舗情報の掲載料、サイトで予約を受けた場合の送客手数料、ダイレクトメールの印刷・郵送費用
消耗品費 割り箸、ストロー、おしぼり、事務用品など

飲食店にかかる固定費の内訳

 

固定費とは、利用客の増減に関係なく支払いが発生するものをいいます。

 

店舗の家賃や借入金の返済など、毎月の支払金額が固定されていて飲食店の営業状況の影響を受けない支払いのことです。

 

変動費 具体例
家賃 店舗を借りている場合の家賃
借入金の返済

利息の支払い

銀行などから借入金がある場合、毎月決まった金額の元本返済と利息の支払い金額
通信費 Wi-Fiの利用料
固定の人件費 シェフの雇用など固定の給料を支払った金額
減価償却費 業務用の冷蔵庫、ガスレンジなどの設備の減価償却費

※実際に支払いは発生しません

 

変動費の平均と経費削減アイディア

 

どのような支出が変動費にあてはまるのか分かったところで、次は一般的な変動費の目安や経費削減アイデアについて紹介していきます。

仕入費

【平均割合:30~35%】

 

仕入れ単価の見直しに取り組みましょう。

 

食材の価格を抑えれば利益が上がることは間違いありませんが、商品の品質に最も関わるところなので質が落ちないよう注意しながら取り組む必要があります

①仕入れ価格を見直す

スーパーなどの小売店から仕入れを行っている場合は、仕入れ価格が高い傾向にあるので、卸売業者との取引に変更することをおすすめします

 

現状で仕入れ業者とお付き合いがある場合は、ある程度付き合いが長くなって信頼関係も築けたタイミングで価格の交渉を行いましょう

 

交渉を行う場合は、一方的に条件を伝えるのではなく、まとめて仕入れる代わりに仕入れ価格を下げてもらうなど、お互いのメリットが生まれるように話し合うことが大切です。

 

そのほか、ネットを使ったり、生産者から直接仕入れを行うことで仕入れ価格が下がる場合があります。

 

仕入れ先が1カ所の場合、注文・支払いも一度で済むので効率的かもしれませんが、複数の仕入れ先があると価格・サービスの内容を比べて仕入れることができます

 

手間はかかりますがリスク分散にも役立つので、いくつか仕入れ先を確保しておくことがおすすめです。

②在庫管理を徹底し、ロスを減らす

在庫の管理を行うために、毎月どれくらいロスがあるのか把握しましょう

 

食材のロスを減らすため、余剰在庫を減らしつつ季節の行事やイベントを考慮した仕入れを行うことがポイントです。

 

ロスが多い食材が特定のメニューでしか使われていない場合は、他のメニューでもその食材を使えるよう見直すことで、仕入れた食材の回転率が上がりロスを減らすことができます

人件費

【平均割合:30%以内】

 

人件費は変動費の中でも多くの割合を占める項目です。人件費削減のために、スタッフをやみくもに減らすと提供するサービスの質低下に直結するため慎重に行いましょう

①シフトの見直し

毎日のスタッフの配置数を一定にするのではなく、時間帯や曜日の混雑する時間に配置するスタッフの数が多くなるようシフトを調整します。

 

利用客の少ない時間に配置するスタッフを削減することで、接客に必要な最低限のスタッフを確保しつつ人件費を抑えることができます

②セルフオーダーシステムの導入

セルフオーダーシステムを導入することにより、注文を受けるためにホールに配置していたスタッフの人数を減らすことができます。

 

セルフオーダーシステムの種類によっては、注文から支払いまで行うことができます。会計時にレジにスタッフを配置する必要がなくなることに加え、レジ締め作業を簡略化できるメリットもあるので導入を検討する価値は十分でしょう。

水道光熱費

【平均割合:5%程度】

①電気代の経費削減

電力自由化により、店舗などの賃貸物件であっても自分の条件にあった電力会社・電気契約プランを選ぶことができます

 

店舗での電気使用量を確認し、契約しているワット数よりも常に下回っているようであれば、契約ワット数を下げるだけでも電気代を節約することができます

 

店舗の照明をLED電球へ変更しましょう。一般的な白熱電球と比べ消費電力を7分の1程度まで抑えることができます

 

また、LEDは放出する熱も少ないため、夏場の冷房代削減にもつながります。

 

LED導入時には費用がかかりますが、長期的にみると電気代を節約できる価値に目を向けてみてください。

 

店舗で使用している冷蔵庫や冷凍庫、エアコンなどの設備が古い場合、電気効率が悪く大量に電力を消費している可能性があります。

 

設備を入れ替えるためは費用がかかりますが、最近のものはかなり省エネに設計されているので年間の電気代が大幅に削減されるケースもあります

②ガス代の経費削減

都市ガスとプロパンガスでは料金が大きく異なるため、都市ガスが利用できる環境であればそちらを使うことをおすすめします

 

プロパンガスの場合でも、電力同様に自由化が進んでおり契約する会社を選ぶことができます。飲食店はガスの使用量が多いので、基本料金が安い会社へ契約を変更するだけでも経費削減につながります

 

ガス会社によっては、電気料金とセットで契約すると価格を抑えられるプランが用意されていることもあるので、それぞれの会社の契約内容を比較してみましょう。

③水道代の経費削減

飲食店を営業している地域が下水道減免対象になっている場合、下水道代を安くできる可能性があります

 

店舗の所在地が該当地域であるか確認してみましょう。業務用食洗機や節水コマを導入し、節水に取り組むことも大切です。

 

導入時には費用がかかりますが、食器を手洗いすると食洗機で洗う何倍もの水を必要とするので、飲食店では食洗機が欠かせません。

 

節水コマとは、水道の蛇口に直接取り付けるパーツ、使用する水量を適切に調節してくれるものです。

 

劇的に水の使用量を減らせるわけではありませんが、ちょっとした工夫も長期間で見れば十分な節約になります

広告宣伝費

郵送でダイレクトメールを送っている場合、用紙・印刷代・郵便代など想像以上に費用と手間がかかっています。

 

メールやLINE、SNSを活用することで、費用や手間をかけずに魅力的な宣伝が可能になります。

 

SNSを使うと、まだ店舗の存在を知らない潜在客に対しても情報を発信していくことができ、利用客の発掘ができるメリットは大きいです。

消耗品費

【平均割合:5%以内】

 

割り箸や紙、文房具類などそれぞれの出費は小さくても、積み重なると意外と費用がかかっています。

 

注文をペーパーレス化、チラシやダイレクトメールをLINE・SNSを使った配信に変更するだけでも用紙・印刷費を節約できます。

 

割り箸を使っている場合は、食洗機で洗える素材へ変える、食器は割れにくいものを使う方法もあります。

 

テイクアウト商品のトレーや割り箸などの購入には、『パックマーケット』の利用がおすすめです。店舗の名入れやロゴの印刷も簡単に注文することができます

まとめ

 

ここまで、飲食店にかかる変動費の内訳や平均、経費削減のアイディアについて紹介してきました。

 

利益を伸ばしていくために、無駄な経費を削減することは不可欠です。そのため、日頃から店舗の経費に目を向けて、内訳が見えるようにしていきましょう

 

サービスの質にもつながる変動費を上手にコントロールできるようになると、良質なサービスと利益を生み出すことにつながります