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小さい飲食店の開業方法で押さえておくべき6つのポイント! | 自己資金ゼロ・リスクなしで始められる?

「飲食店を開業したいと考えているが、開業準備の流れが分からない」

「1人で飲食店を開業できるだろうか」

などの悩みや不安をお持ちではありませんか?

 

飲食店のコンセプトや規模によっては、1人でも開業は可能です。

 

今回の記事では、飲食店の開業に向けて資金調達や必要な手続きと経営を成功させるためのポイントを解説していきます。

小さい飲食店の開業は可能?

 

店舗面積が10〜15坪程度の小さい飲食店であれば、1人であっても調理・接客の対応が可能でしょう。

 

店内のレイアウトをカウンタースタイルにするかテーブル席にするかどうかで座席数は異なりますが、10席程度が目安になります。

 

小さい飲食店は座席数の関係もありファミリー層よりも、バーやカフェなど1人客の利用が多い傾向があります。しっかりとターゲット層を決めて、店舗のレイアウトやインテリアにこだわることで利用客の心を掴むことができます

自己資金ゼロでも始められる?

 

開業するお店の立地やスタイルなどによって、その金額は大きく変わります。目安として、飲食店を開業するためには、おおよそ1000~1500万円程度の開業資金が必要になると言われています。

 

現実的に自己資金ゼロでの開業はほぼ不可能と言えるでしょう。日本政策金融公庫の総合研究所の調べによると、新規開業資金の約3割を自己資金から調達しているようです。

 

1000万円の開業資金が必要な場合、自己資金は300万円程度必要という計算になります。

 

なぜ自己資金ゼロでの開業が不可能かというと、融資を受けるために「不動産の契約書」の提出が求められますが、そのためには物件の取得費用(保証金・礼金など)を支払い終えている必要があるからです。

 

店舗の家賃相場として、保証金は10ヶ月分です。1ヶ月の家賃が25万円とすると保証金は250万円で、さらに礼金、仲介手数料、前家賃などが加わると300万円程度の自己資金がないと契約できないことが分かります。

融資はどうやったら受けられる?

 

融資と聞くと銀行から借りるイメージがありますが、実績のない個人事業主が銀行から開業資金を借りることは難しいです。

 

飲食店の開業に向けて、多くの人が『日本政策金融公庫』という政府系の金融機関を利用しています

 

融資を受けるためには、開業資金の算出、融資制度の選択、開業計画書の作成、融資担当者と面談を行うなど様々な準備が必要になります。

 

融資が受けられるかどうかは開業に向けた重要なポイントとなるので、しっかりと準備を行って臨みましょう。ここからは、実際に日本政策金融公庫で、どのような融資が受けられるのか紹介していきます。

生活衛生貸付

飲食店の開店準備で利用できるのは、生活衛生貸付の一般貸付という種類です。

 

保証人・担保が必要になるとともに、融資額が500万円以上になると都道府県知事の推薦書の提出が必要になります。勤務経験の条件はないので、飲食業界での経験が少ない人でも利用できるメリットがあります。

 

推薦書については、各都道府県の生活衛生営業指導センターへ交付申請を行います。

 

必要書類は、推薦書交付願、借入申込書、創業計画書、店舗の契約書、内装工事の見積書、店舗の平面図です。

 

対象 飲食店、喫茶店、肉屋、美容室、旅館、公衆浴場など生活衛生関係の事業
融資限度額 7200万円
返済期間 13年以内
保証人・担保 必要
利率(年) 1.16~2.35%

※利率は用途、返済期間、担保の有無などによって変わるので要確認

新規開業資金

現在働いている仕事と同じ職種の事業を始める人向けの融資制度です。担保・保証人が必要なほか、飲食業界で一定の勤務経験が必要になります。

 

ただし、これらの条件に当てはまらなくても、技術やサービス等の工夫を加え多様なニーズに対応する事業を始める、雇用創出をともなう事業を始めるなどの条件があるので、これにあてはまっていれば申請することができます。

 

対象 ・飲食業の同じ会社で6年以上の勤務経験あり

・働く会社が変わっていても飲食業で通算6年以上の勤務経験あり

・技術、サービス等に工夫を加え多様なニーズに対応する事業を始める

・雇用の創出をともなう事業を始める

融資限度額 7200万円(内運転資金4800万円)
返済期間 ・設備資金:20年以内

・運転資金:7年以内

保証人・担保 必要
利率(年) 1.16~2.35%

※利率は用途、返済期間、担保の有無などによって変わるので要確認

女性、若者/シニア起業家支援資金

女性や該当年齢の人が利用でき、ほかの融資と比較し、金利が低いというメリットがあります。

 

対象 女性または30歳未満か55歳以上の人
融資限度額 7200万円(内運転資金4800万円)
返済期間 ・設備資金:20年以内

・運転資金:7年以内

保証人・担保 必要
利率(年) 0.76~1.95%

※利率は用途、返済期間、担保の有無などによって変わるので要確認

新創業融資制度

経験年数など一定の基準を満たすと、無担保・無利子で融資を受けることができ、他の融資と併用して利用します

 

対象 ・飲食業の同じ会社で6年以上の勤務経験あり

・会社が変わっていても飲食業で通算6年以上の勤務経験あり

・雇用を生み出す事業を始めるなど

上記に加え、

・開業資金の10分の1以上の自己資金を持っている

融資限度額 3000万円(内運転資金1500万円)
返済期間 各融資制度が定める期間内
保証人・担保 不要
利率(年) ・生活衛生貸付+新創業融資制度:2.16~2.75%

・新規開業資金+新創業融資制度:2.16~2.75%

・女性、若者/シニア起業家支援金+新創業融資制度:1.76~2.35%

※利率は用途、返済期間、担保の有無などによって変わるので要確認

中小企業経営力強化資金(専門家支援付融資)

外部の専門家から助言・指導を受けている人が利用できます

 

対象 ・外部の専門家の助言、指導を受けている

(飲食店の場合は、税理士などを通して申請することで融資制度を利用できます)

融資限度額 7200万円(内運転資金4800万円)
返済期間 ・設備資金:20年以内

・運転資金:7年以内

保証人・担保 2000万円までは担保・保証人不要
利率(年) 1.71~2.00%

1.31~1.60%(女性または30歳未満/55歳以上)

※利率は用途、返済期間、担保の有無などによって変わるので要確認

飲食店経営のリスク

 

飲食業は競争の激しい世界なので、念願の開業を果たせたとしても様々なリスクがあることを知り、対策を考えていく必要があります

資金不足

「物件取得費用」と「店舗投資費用」が足りれば、店舗を借りて内装や備品を揃えることができますしかし、開業はゴールではなく経営のスタートラインに立ったにすぎません。

 

「日本政策金融公庫」の調べによると、約6割の企業がお店を軌道に乗せるまでに6ヶ月以上の時間がかかっています

 

開業直後は友人や身内、近隣住民でにぎわうかもしれませんが、その客が定着しなくては売上げは落ちていってしまいます。

 

軌道に乗るまでの苦しい時期を乗り切れるよう、運転資金の6ヶ月分の資金を用意しておきましょう

 

運転資金は次の計算でおおまかに計算することができます。

運転資金=FLコスト(食材費+人件費)+家賃

 

これは、仕入れをしてお店を開けているのにお客さんが1人も来なかったこなかった場合の計算です。実際には黒字にならなくとも、ある程度の来客はあると思われるので、時間と共に運転資金の消費は抑えられるかもしれません

生活費の不足

お店に必要な資金については十分に検討されていると思いますが、生活費も忘れずに準備しておきましょう。

 

飲食店の経営が軌道に乗るまでの期間、自宅の家賃・水道光熱費・食費など必要な金額を6ヶ月分用意しておきます

 

開業に合わせて引越しをする場合は、引越し費用の準備も忘れずに行います。

従業員不足

飲食業界は人手不足の傾向にあります。急なスタッフの欠員、1人で経営する場合は自身の怪我や体調不良で働けなくなるリスクがあります。

 

従業員を雇う場合は、定着率を高める工夫が必要になります。

食中毒の発生

様々な食材を取り扱う飲食店では、食中毒が発生するリスクがあります。1度でも食中毒が発生すると、その店に対する利用客からの信頼が失われ、最悪の場合廃業に追い込まれてしまう危険もあります

 

日頃から、食材の管理店内の衛生状態には注意していきましょう。

店舗が損害を受ける

災害や事故により店舗が損害を受けるリスクがあります損害を受けた場合は、修理費用が必要となり、修理が困難な場合は閉店せざるを得ないケースもあります

リスクへの対策

事業計画を立てる段階からリスクを明確にし、備えておくことが必要です。また、リスクへの対策として飲食店向けの保険に加入することが必須となります。

 

飲食店向けの保険には、生産物賠償責任保険(PL保険)、店舗休業保険、火災保険などいくつか種類があります。

 

・生産物賠償責任保険:消費や運営に問題が生じた際に損害をカバーすることができます。飲食店で食中毒が起きたときの損害賠償に備えます。

・店舗休業保険:災害や突発的なできごとによって休業せざるを得ない場合の補償を行います。

飲食店開業の準備① | コンセプト設計

 

飲食店の開業の際に、コンセプト設計は最も重要なポイントになります。

 

経営の方針を決める指標になるとともに、資金の準備や事業計画を作成するためにもコンセプトを明確にしておく必要があるのです。

コンセプト設計が重要な理由

どのような利用客をターゲットにするか、店舗の内装やサービス内容までブレることがないよう方向性を統一します。コンセプトが明確に決まっていると、お店のアピールポイントにもつながり、安定した経営のために必要不可欠な要素です。

 

コンセプト設計時には、店舗の名前、立地、サービスの価格、営業時間、スタッフ人数、内装、座席数・配置スタイル、食器の種類など様々な要素について検討が必要です。

 

「こんなお店を作りたい」「こんなメニューはどうだろう」と開業前に様々なアイデアが浮かんでいることでしょう。

 

しかし、アイデアを出すこととコンセプトを考えることは別の話です。やりたいこと、利用客へのサービス内容などたくさんのアイディアをもっと深めていき、“お客さんがこのお店に来たいと感じる理由“を考えて導き出した答えがコンセプトになるのです。

 

コンセプトに基づいた経営ができると「このお店に来ると、この商品・サービスが提供してもらえる」と利用客にも明確に伝わるので、リピーターを獲得する、「こんなサービスを受けたい時はここのお店!」と口コミを広げられます。

 

飲食店の開業に向けて溜めてきたアイディアを見つめ直し、コンセプトを検討していきましょう。

コンセプトの決め方

誰もが聞いたことのある「5W1H」をもとに何を、誰が、どこで、いつどのように行うのか具体的に考えていきます。

 

5W1H 具体例
what:何を 国産・無農薬の食材を使用、アルコールを充実させる、手作りのデザートを提供など
who:誰に 年齢層、健康志向、カップルなど
where:どこで 坪数、テラス席、カウンタースタイルなど
when:いつ ランチタイム〜ディナーまで(休憩時間は取るのか)、ディナータイムのみ
how:どのように ビュッフェ、テイクアウトの有無、客単価など

 

5W1Hをもとにコンセプトを決める際は、出店予定地周辺のリサーチも行った上で、利用客のニーズとコンセプトを一致させることが重要です。

飲食店開業の準備② | 事業計画

 

事業計画とは、飲食店の経営にあたって必要な戦略や、想定されるリスクと対策について現実的で実現可能な方法をまとめたものです。

 

事業の内容を整理・明確化するとともに、他者に説明し理解を得るために必要になります。

 

事業計画書のおおまかな内容は下記の通りです。

 

事業の目的 目的、事業を決意した背景やきっかけ
プロフィール 略歴、過去の事業経験、取得資格、知的財産権等
環境分析 内部環境(強み、弱み)、外部環境(機会、脅威)、SWOTクロス分析
事業の方向性 ビジョン、なぜこのお店をやりたいと思ったのか、経営する上での自己・会社の強み
事業内容 店舗名、コンセプト、立地、ターゲット、利用動機、売り方、店舗イメージ、営業時間販売促進
売上計画 毎月の売上高目標を立てる。開業から1年分ほどの月ごとの試算を行う。

「客数×回転数×満席率」から算出

投資計画 物件取得費、施設工事費、厨房設備費、開業諸経費などを合計
損益計画 好調時、標準時、不調時の3パターンを作成

※不調時でも赤字にならないようシミュレーション

資金繰り表・返済計画 売上高から必要経費を引き、最終的に手元に残る現金と金融機関への返済計画を立てる
創業実現への課題 工事の遅れ、スタッフの確保・教育など
想定されるリスクと解決策 新型コロナウイルス感染症の長期化、競合店増加による利用客の減少など
撤退計画 累計赤字や連続赤字期間がどの程度になったら撤退を決定するか

飲食店開業の準備③ | 物件選び

 

コンセプトが決まったら、その内容と予算に合った物件探しを始めます。

資金調達の前に、物件選びを始める

物件選びは、資金調達よりも先に契約する物件を探して仮押さえする必要があります

 

資金調達を行わないと、物件を借りる資金がないと心配になるかもしれませんが、融資は事業計画書をもとに行われるため、家賃や業種、出店エリアなどを明確にして融資に臨むことをおすすめします

 

融資前で自己資金が少ない場合は、物件探しを行った際にオーナーへ手付金を払わずに仮押さえができるよう交渉していきましょう

業者同伴で内見を行う

物件選びをするときは、できれば内装などの施工業者と一緒に物件探し・内見を行うことをおすすめします

 

実際に施工業者と一緒に物件探しを行うと、工事が始まってから予定していた座席数を確保できないなどの内装工事や設備関係のトラブルを防ぐことができます

 

希望通りの内装が実現できるのか、予算などその場で具体的に相談しやすいメリットも大きいです。

物件選びのポイント

家賃の支払い開始時期

開業準備中にも家賃が発生する契約では、自己資金から家賃を支払う必要があるので注意してください。

居抜き物件・スケルトン物件の活用

不動産会社では一般的に「造作譲渡物件」として紹介されます。スケルトン物件では、以前営業していた店舗の内装や設備が取り除かれているのでコンセプト通りの店舗作りがしやすくなっています

 

居抜き物件は、内装や厨房設備が残った状態になっており、費用を抑えて開業できる反面、厨房の広さや器具、内装などがコンセプトと違っていると、こだわりの店舗を作りにくいデメリットがあります。

 

以前営業していた店舗が集客できずに閉店していたり、提供されていたサービス内容によっては近隣住民から良いイメージをもたれていなかった可能性があります

 

新しく飲食店を開業してから良いイメージを持ってもらえるようになるまでに、時間がかかることもあるので注意しましょう。

飲食店開業の準備④ | メニュー開発

 

メニュー開発を行う場合、主に以下の工程をベースに行います。※順不同

 

・レシピの作成(食材選定)
・原価計算
・試食
・食器選定
・盛り付け
・ネーミング

 

味はもちろんのこと、見た目や量、原価、仕入れ先など、考えなければいけないことは多岐にわたります。

 

立てたコンセプトやターゲット層、立地など前提に、自分の作りたいものだけを開発するのではなく、お客さんが食べたいと思うもの、かつ利益を残せる開発が求められます。

 

またテイクアウトでのメニュー開発の場合、食器選定が容器の選定に変わってきます。もし容器をどれにしたら良いか分からず悩んでいる場合は、品揃えが豊富な『パークマーケット』がおすすめです!

飲食店開業の準備⑤ | 必要資格

 

飲食店を開業するために、調理師や栄養士の資格は必要ありませんが、2つの資格が必要になります。

食品衛生責任者

飲食店などの営業施設で衛生管理を担う責任者で、営業施設ごとに設置することが義務付けられているため、飲食店などの調理営業や食品の販売に必須の資格となっています。

 

1日講習を受けることで誰でも資格を取得することができ、責任者でなくても従業員から選出することもできます。

 

調理師免許や栄養士の資格を持っている場合には、講習を受けなくても資格の取得が可能です。

 

・届出先:食品衛生協会へ申し込み、講習を受けて資格を取ったら、保健所へ届け出る

・費用:3,000~12,000円

防火管理者

全店舗の収容人数が30名以上の場合、配置が必要です。この資格は2種類あり、お店の広さによって変わります。

 

店舗の面積が300平米以上の場合は甲種防火管理者、300平米未満の場合は乙種防火管理者の資格を取得します。

 

甲種防火管理者の資格を持っていると、乙種防火管理者の資格は不要です。

 

・届出先:消防署

・費用:甲種6,500円、乙種5,500円

飲食店開業の準備⑥ | 書類手続き

保健所への営業許可申請

・届出先:保健所

・対象:全店舗

・届出期限:店舗完成の10日前まで

 

必要書類 営業許可申請書、営業設備の大要・配置図、水質検査成績書、食品衛生責任者の資格を証明するもの、許可申請手数
手数料 飲食店:16,000~18,300円

喫茶店:9,600~11,500円

※金額は自治体と業種により異なります。

※法事の場合は登記事項証明書も必要

手続きの流れ

1. 保健所へ必要書類の提出、手数料の支払いを行う

2. 店舗の確認検査を受ける。

    保健所の職員が実際に店舗に訪れ、確認作業を行う。

    不具合がある場合は後日再検査を実施。

3. 営業許可書の交付

4. 営業開始

    営業許可書は、店内の利用客から見える位置に貼っておく。

防火管理者選任届

お店に収容できる人数によって届出が必要になります。火の取り扱いについては別途届出が必要になるので注意しましょう。

 

・届出先:消防署

・対象:収容人数が30人を超える店舗

・届出期限:営業開始まで

防火対象設備使用開始届

防火関係はすべての事業形態で届出が必要になります。忘れてしまうと罰則もあるので注意しましょう。

 

・届出先:消防署

・対象:建物や建物の一部を新たに使用し始める場合

・届出期限:使用開始7日前まで

火を使用する設備等の設置届

飲食店には厨房が設置されているので、必ず届出が必要になります。

 

・届出先:消防署

・対象:火を使用する設備がある場合

・届出期限:設備設置前まで

深夜酒類提供飲食店営業開始届出書

居酒屋、バー、立ち飲み屋など0時以降もお酒の提供を行う場合は届出が必要です。開業後に変更があったときも申請が必要になります。

 

・届出先:警察署

・対象:深夜0時以降にお酒の提供がある場合

・届出期限:営業開始の10日前まで

風俗営業許可申請

風俗営業にあてはまるかの判断は非常に難しく、種類の提供がある場合には専門家に1度相談してみることをおすすめします。

 

客への接待のほか、証明が10ルクス以下、区画席を設けて他から見通すことが難しいなどの項目に当てはまると届出が必要になります。

 

・届出先:警察署

・対象:客に接待行為を行う場合

・届出期限:営業開始の約2ヶ月前まで

個人事業の開廃業等届出書

個人事業主として飲食店を開業した場合、必ず届出が必要になります。

・届出先:税務署

・対象:個人で開業する場合

・届出期限:開業日から1ヶ月以内

労災保険

人数に関係なく1人でも従業員を雇うと加入手続きが必要になります。

・届出先:労働基準監督署

・対象:従業員を雇う場合

・届出期限:雇用日の翌日から10日以内

雇用保険

雇用形態は関係ありませんが、31日以上人を雇う予定がある、週の労働時間が20時間以上となる場合に届出が必要です。

 

・届出先:公共職業安定所

・対象:従業員を雇う場合

・届出期限:雇用日の翌日から10日以内

社会保険

・届出先:社会保険事務所

・対象:個人の場合は任意ですが、法人は強制加入

・届出期限:可能な限り早く

飲食店開業に失敗・後悔した人の例

 

飲食店の経営がうまくいかない原因は様々ですが、経営に失敗した人に共通するポイントをいくつか紹介します。

コンセプトがあいまい

コンセプトはメニュー、内装、サービスなどお店全体を統一するテーマです。コンセプトが明確になれば、競合店との差別化をはかれるようになりリピーターの集客につながります。

 

開業当初に決めたコンセプトがブレていたり何度も変更するのは良くありませんが、飲食店を経営する中で、客層や人気メニューの分析などからニーズに合わせ柔軟に対応していくことも必要です。

市場や競合店のリサーチ不足

「商圏分析」といってそのエリアの人口分布、年齢層などから市場規模を図り、地域性や習慣などを分析します。

 

周囲の大型店舗の有無なども考慮し、開業後に利益が出せるのかリサーチしておきます。出店エリアの特性を知り、利用客のニーズに合わせたサービスを提供することを考えなくてはいけません。

こだわりが強すぎる

飲食店の開業前には「こんなお店を作りたい」と、強い意志を持っているかもしれません。しかし、こだわりが強すぎると利用客のニーズに合わない店、サービスになってしまうことがあります。

 

細かいところまでこだわった結果、内装や備品など初期費用に多額の資金を費やしてしまうことも問題です。

効果的な集客ができていない

飲食業は競争が激しい世界なので、美味しい料理を作っているだけでは生き残れません。インターネットやSNSなど少ない費用で効果的に集客できるツールの活用がポイントになります。

 

料理やサービスの質をたかめるとともに、集客にも力を入れましょう。

飲食店経営を成功させるためのポイント

 

飲食業での経験が長く、独立して店をもちたいと考える方も少なくないでしょう。ただし、経営に関しては初心者のため、経営を成功させるためのポイントを紹介していきます。

メモ・分析する習慣

「QCD」:Q(高品質)、C(低原価)、D(適切なタイミングでの提供)の実現が成功への課題です。

 

飲食店の経営、日常生活の中で気付いたこと、思いついたことをメモすることで、小さなアイディアをたくさんストックしておくと、思いがけないひらめきにつながることがあります。

 

収支をしっかり把握・管理することも必要です。日頃からコストや利用客数の変動とその要因に目を向けることで、経営の無駄を省き、効率化・収益につなげていく意識を持ちましょう。

 

経営・お金の知識を身につける

飲食業で働いてきた経験はあっても、経営に携わるとなると経営スキル、お金の知識が必要になります。

 

これまでの経験だけでは、開業後の経営を成功させることは難しいので、開業する前から少しずつ経営やお金について知識を身につけていきましょう。

 

また開業後は日頃からコスト意識を持って、無駄がないか見直していく習慣を身につけることが大切です。

SNS運用などのマーケティング力

飲食店の経営を軌道に乗せるためには、集客が必要です。基本的には開業予定エリア周辺での掲示・チラシのポスティングなどを使って認知してもらいます。

 

最近は、SNSを活用した集客にも注目が集まっています。無料で始められるものが多く、メニューや店のコンセプトなどの視覚的な情報を発信することができます。

 

SNSを活用して店舗の認知度を高めるためには時間がかかりますが、近隣住民だけでなく幅広い人に周知できるメリットは大きいです。

効率的な経営

調理や積極以外にも、食材の仕入れ・管理、売上げやコストの計算など飲食店を経営するためには多岐にわたる業務があります。

 

すべて手作業で行っていては、かなりの労力を消費してしまいます。開業時にPOSレジを導入し、会計時点で商品の販売数や在庫数、売上げなどを自動で集計・分析できるようにすると業務が効率化できます。

まとめ

 

ここまで飲食店の開業方法や経営を成功させるためのポイントについて説明してきました。

 

飲食業は競争が激しい世界ではありますが、食を通して人に幸せな気持ちや、これまでにない体験を届けられる魅力的な職業です。

 

これから、起業しようと考えている方は十分な準備と計画を立てて、そこでしか味わえない料理や空間を提供できるお店作りを目指してみてください。

 

今回の記事を飲食店の開業に向けて、参考にしていただければ幸いです。